最近の若いものは....と知的複眼思考法

「最近の若い者は....」

「最近の学生は....」


という言葉を耳にする.というか,MNBもよく口にする.

その言葉の裏にあるものは何か.

最近の若い者はAである.しかし,我々はBであった.
AよりもBのほうが○○という点で優れている.


という考えがあるように思う.



例えば「最近の学生は積極性が無い」と言葉にする.

その裏には,積極性があるほうが素晴らしいという考えが潜んでいる.



ここで少し考えてみたい.

積極性がある(というより高い)ほうが本当に素晴らしいのか.積極性を前面に押し出すことで失うものは無いのか.

積極的に何かの行動を次々に起こすことは本当に素晴らしい「だけ」なのか.ひょっとしたら,それは思慮の浅はかさの表れかもしれない.そして,浅はかな思慮が招く不幸に繋がるのではないか.


次に,本当に最近の若い者は積極性が無いのかどうか.それはひょっとしたらこちらの勘違いだったり,少数事象の拡大解釈という可能性は無いのか.もしくは,そのように思い込みたい.思い込むことで自分の若かりしころの優位性を保ちたいのではないのか.



禅問答をするつもりは無いが,こうした批判的な思考なく,最近の若い者は....最近の学生は....と断じるべきではないのかもしれない.




知的複眼思考法(著)苅谷剛彦講談社α文庫 を再読しつつ,自戒.