「今の動き良かったよ」 ホンマかいな

「今の動き良かったよ」

「さっきの感じのほうが好きです」

「さっきよりも大分良くなったよ」



コーチングの現場でかわされる何気ない言葉ですね.

しかし,それは「本当」に「良かった」のでしょうか?



MNBが大学院生の時.

後輩に走り高跳びを教えてほしいと言われ,一緒に1時間ほど「あ〜だ」「こ〜だ」いって技術練習.

その時間内に自己記録の更新や,練習中での記録更新などはならなかったが,課題を明確にし,選手も納得して練習を切り上げた.

その後の恩師の一人(専務理事ではなく,バイオメカニクスの大家が,たまたまグラウンドにいらしていた)から,「今の練習,何か上手くなったんか? 動きも,跳躍の高さも何も変わってなかったぞ」との一言.



図星でした.

思い返せば,結局後輩にわかりきった課題を明示し,なすりつけただけ.

結果として跳躍の高さはでてないけど「動きは良くなってるよ」と逃げただけ.

走り高跳びで一番大切なのは高く跳ぶこと.

そこから逃げたことを指摘され,穴があったら入りたいという気持ちになった過去がありました.



技術指導って本当に難しい.

「今は結果に結びついていないけど,動きは良くなっているから」ということは,確かにあるのだろう.

でも,それを言えるのは「過去にそうした経験がある」からではないか.

「動きが良くなった」と自分が思いたいだけで,さらに「記録も出るだろう」と思い込んでいるだけではないか.



常に即時的な効果が出ないのは仕方無いが,それに背を向けて逃げてはいけないですね.