2014年度 卒業生に贈る言葉

君たちが陸上競技部で身につけたものは何でしょうか.グラウンドで手にしたものは何でしょうか?

100mを速く走るために,毎日ただ100mを走る.諸君のなかでそうした練習を続けた選手はいないと思います.100mという競技を見つめ直し,分解し,それぞれを個別に鍛え上げ,そして再度つなぎ合わせてパフォーマンスを向上させたはずです.

走り幅跳びで遠くに跳びたいが,自分に向いていないから諦めた.諸君のなかでそうした選手はいないでしょう.助走や踏切を見つめなおし,何が足りているか,何が足りないかを見極め,取捨選択し,トレーニングに励んできたはずです.

投擲種目,中長距離,競歩.トレーナー,マネージャー,データバンク.どの種目,どの部員においてもそれは同じであり,陸上競技を見つめ直し,自分を見つめ続け,真摯にとりくんできたことは間違いのない事実でしょう.

さて,ここで「陸上競技に関する用語」を「会社」もしくは「仕事」に置き換えてみましょう.どうでしょうか.「思考」という名の武器をどれだけ手にしてきたかわかると思います.君たちが手にした結果や成果は少ないかもしれません.しかしチャレンジしてきたことは数知れず,それを支えた思考プロセスは幾らでも応用が可能です.

今日の卒業式で見事な答辞を読んだ恒哉.その内容に「何事も諦めずに戦い続ける」というものがありました.恒哉は,みんなも知っての通り,混成ブロックから跳躍ブロックに移った選手です.自身が混成競技者として,より高みを目指すには跳躍ブロックで努力するべきだと判断した結果です.
一見すると,それは「諦めた」という意味に捉えられるかもしれません.しかし,それは違う.恒哉は目標を諦めないために,手段を変えた.と私は思っています.いや,事実そうでしょう.

諸君はすでに選ぶ力,生み出す力を持っています.あとはそれを自覚し,応用する努力に取り組むだけです.
国際武道大学陸上競技部での4年間を通して「道」を知り,「道」をひらく準備はできました.これまで流した汗と涙に恥じることのない,新しい道を切りひらいてください.

そして,願わくば今日よりも大きく,深い人間になってまた勝浦の地に遊びにきてください.大勢の後輩達が君たちの活躍を願っています.
君たちの監督として話をするのは今日が最後ですが,眞鍋はこれからも君たちの喜びを報告してくれる場所,君たちの第二のふるさとを守っていきます.

卒業,おめでとう.


国際武道大学陸上競技部監督
眞鍋芳明