高い山は裾野が広く,深い穴の入り口は広い
大学院生のとき,恩師の一人から授業で「若いウチはとにかく尖れ!」といわれた.
その先生は強烈な授業をする人で,「いいか! 筋肉痛というのはな,お前達のサムシング何かがぶっ壊れてんだ! その信号を感じ取れ! そして歓喜に踊れ! それができて体育人だ!」というエクセレンスを持っていた.
ノーベル賞受賞者から「あなたの論文を送ってほしい」と評価されるほど,研究の分野でも活躍されていた.
そして,その先生を交えての飲み会になると,必ず激論になる.
院生同士のポリシーのぶつかり合い,思いのたけを仲間にぶつけ,討論する.
触れれば切れるナイフのように,時には頑固で,偏った極論どうしがぶつかり合うため,飲み会の翌日は反省しきりだったものだ.
その恩師の言葉ではないが,特に大学界で走り続け,生き延びていくためには,とにかくオンリーワンに近い武器が必要だ.
教養や広さ,ジェネラリストを求める声もあるが,まずはとにかく「何かを高く積み上げて尖らせること」.
「穴を深く掘れ!」と言い換えてもよい.
高い山は裾野が広い.
深い穴の入り口は大きい.
高く高く尖る,深く深く掘り下げる.結果として土台の広さ,入り口の広さも手に入る.
だから,若いときにはとにかく積み上げ続け,掘り続けよ.
ローマは一日にしてならず.コツコツコツコツと続けることが何よりも大切.
そうした人間は魅力的だ.
一芸8年,商売10年という.
眞鍋芳明.国際武道大学に赴任して10年目となる2014年ももうすぐ終わる.
まだまだ高く積み上げねばならぬ.
まだまだ深く掘らねばならない.
魔法はない.奇跡もない.
今日もコツコツコツコツだ.