あなたの言っていることは正しい.でも従いたくない
今日はリーダーと,それを支持するフォロワーについて.
ブロックが新体制になると,よく生じる悩み相談.「リーダーとしての自分がやろうとしていることを下級生や仲間に解ってもらうためにはどうすればいいか?」
では,逆に聞こう.
「相手はあなたの言っていることを解ってはいるよ.でも,従いたくないんだよ.それが解らないと『解ってもらえない』のだよ」
フォロワーの評価対象はリーダーが話す「話しの内容」と「リーダーそのもの」.
正論だからムカツクこともあろう.
勉強すると成績が上がるのは誰だって知っている.
甘い物を抑えればダイエットできるのもそうだ.
でも,人間には欲望がある.心がある.
頭で理解していても,「なんかあの人キライ」ならば,決してフォローはしてくれないのだった.
では頭で理解してもらうだけでなく,気持ちとしても納得してフォローしてもらうためにはどうすればよい?
まずは感情のスイッチをONにさせることだ.
人が本気で動くのは心が動いたとき.
・練習をサボり,格下にぼろ負けした.
・単位を落として進級が危うい
・好きな人ができた.
心のスイッチがONになったとき,人は大きなパワーを生み出す.
納得する状態とは,「理性」と「感情」が同じ方向を向いたときだ.
つまり,「理性」と「感情」,「話す内容」と「リーダーそのもの」の4つを並べて考えると,「どうすれば納得してもらえるか=どうすれば解ってもらえるか」がハッキリしてくる.
絵をかくとわかりやすい.
十字の線を引き,
左側が「リーダーそのもの」,右側が「リーダーが話す内容」
上側が「理性」,下側が「感情」
そして十字で区分された4つの部屋.
右上が「論理性」
右下が「具体性」
左上が「信頼性」
左下が「共感性」
リーダーそのものに「共感」できるということは,リーダーに対する感情が盛り上がっているとき.
反対にリーダーが話す内容に理性が反応するときは,話の内容に「論理性」が伴っているときだろう.
この4つの部屋にあるものはどれも重要.
「論理性」が欠ける = 良い大学に行けば幸せになれる
「具体性」が欠ける = 今日の練習はスピードアップな
「信頼性」が欠ける = 先輩は口ばっかりで練習してない!
「共感性」が欠ける = 「俺たちの時代はなぁ〜」は聞き飽きたよ!
そして,リーダーが一番最初に心がけるべきは「信頼性」と「共感性」の強化だ.
なぜなら,いくら話す内容が論理的で具体的でも,信頼と共感を得ていなければ,ついてきてくれないのだから.
これはもやは指導や伝達の効率に影響を与える.
リーダーのことを好きで,尊敬していれば,リーダーの指示や思想は,素早く,明確に伝わる.
反対に信頼と共感を得ていないリーダーの指示は,どこかで停滞する.間違う.
伝言ゲームと一緒だ.
では,さらに突っ込み,「信頼できる人間」「共感される人間」とはどういう人間か.
これはもう簡単だ.
口先だけでなく,自らリスクを背負い,行動する.その行動に一貫性があり,肝が据わった人間は信頼を集める.
そして相手の話をきちんときき,受け入れてくれる器がある.喜怒哀楽があって,決して形式だけを重んじることはしない.そういう人間は共感してもらえる.
とはいっても,何事もバランスが必要.
思いつきでの直感突進では困るし,義理人情だけで渡っていけるほど世の中は甘くない.
けれども,「解ってもらえていない」と感じているのであれば,まずは信頼を勝ち得る努力から始めるべきだ.
そして,信頼してくれる仲間を築き,次なる問題は,その仲間とともに解決していけば良い.
人はそうして成長していくものだよ.