耳から脚が生えている
昔,学生のころあこがれていたトップジャンパーにした質問.
「歩くときに気をつけていることは何ですか?」
師曰く「耳から脚が生えているように」.
当時は,まったく意味がわからず「なんのこっちゃね」
あれから10年以上経った今,ようやく意味を理解し,実践できるしようとするように.
どのような動作を行う時も,身体の中心から動かす意識を持つ.
結果,脚は股関節からではなく,もっと上,身体の中心部分から生えてくるようなイメージができあがる.
では,なぜ身体の中心から動かすべきなのか.
それには,
1.大きなパワーを発揮できる筋が集中している.
2.質量そのものが大きい
3.その分,緻密な操作が苦手
という特徴を理解する必要がある.
大きなパワーを発揮できる筋を十二分に活用することが,身体能力を競うスポーツにおいて重要であることは当然のこと.
しかし,こうした大きな筋は,じつは細かく動かす能力に乏しい.
たとえば,指先のように身体の末端になるほど,運動ニューロン(神経)が支配する筋線維の数が少なくなる.つまり,細かく動かすことが可能.
その一方で大筋群では,ひとつの運動ニューロンが支配する筋線維数は数百にものぼる.
この差が「巧緻性」の差となる.
動かせない,動かしにくい,意識しにくい部分をコントロールできるようになることでスポーツにも有利となる.努力して一所懸命修行を続けることは無駄ではないのだ.
現在,陸連の混成ブロック強化合宿中.
日本一身体を動かすのがうまい(そうでなければいけない)選手達とともに,今日も耳から脚を生やす練習に取り組む.