十種競技を始めよう(林田君から続く)

十種競技を始めよう.あ,いや七種競技も始めよう(笑

って,同じ十種仲間の林田あきのり君のパクリではありますが,どうせ十種の仲間をつのるなら同時多発的なほうが良いと考え,今日はMNB的に考えた十種競技の魅力について語ります.


ちなみに,このブログを読む前に,まず林田君のブログを読んでください.

十種競技に求められる万能性,知的さ,達成感など,さまざまな十種競技の魅力が書かれています.

ここでは,それに追記する形で話を進めます.



混成競技を進めていく上で身につく様々な力のなかの一つ.それは一言でいえば「諦めない力」であったり「切り替える力」であると思います.

基礎的な身体能力を上げ,十種競技を構成する全ての種目で自己ベスト,結果として大幅な総合自己ベストを達成するのが十種競技者としての理想ですが,現実的にはなかなか上手くいきません.

100mが絶好調,でも走れすぎて走幅跳は失敗,砲丸投では落ち込んだ精神状態からやっぱり失敗.でも走高跳ではなんとか自己ベストタイまで持ち込み,いざ400mへ.100mで自己ベストを出せたのだから,400mをいけるはず!と意気込み,前半からぶっ飛ばすと,,,,力を使いすぎて途中で失速.結果自己ベストからは遠い記録に・・・・

なんてことは,未熟な十種競技者であれば珍しくありません.


では,成熟した十種競技者では珍しい? ええ.その通りです.優れた十種競技者であれば,100mが自己ベストの段階で,その他の記録も概ね高いレベルで揃えてきます.逆に100mが多少悪くても,他の種目で補い踏ん張れます.

この違いは何か?



それこそが「切り替える力」であり「諦めない力」です.「十種競技を良く理解している」としてもよいでしょうし,もっと大きく捉え「森を見る力」としてもいいかと思います.


狙い取りの記録がでなかった.だれしも落ち込むことでしょう.けれども,その精神状態を引きずっていては次の種目で良い結果がでるわけありません.その落ち込む気持ちを前に進むエネルギーに変える.もしくは頭の中身をスパッと切り替える.そんな能力がなければ,ハイレベルな戦いを展開することなどできません.

大阪世界陸上七種競技でチャンピオンになったクリフォト選手に十種競技仲間であるISHIROさんがインタビューしたときの逸話.

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ISHIRO:7つある種目の途中,上手くいかなかったときは誰でも落ち込むと思います.その心を,次の種目に向けてどうやって切り替えますか?

クリフォト:悩むことで,次の種目に良い結果が生まれるのならば,私は全力で悩むだろう.でも,そんなことは起きえない.ならば私にできることは常に今の種目に全力をつぎ込むこと.私は常に100%だ.

※ウロ覚えですが,上記のようなニュアンスだったかと.
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ボロボロの結果しか出せなかった1日目.そんな状態で2日目のハードル前のウォーミングアップ.最悪ですよ.よく分かります.けれども,先には何が待っているか解らない.ならば,今できることは今の状態で100%の結果をだす準備をすること.全力で戦わないと「戦った」なんて言えませんね.

9種目終了時点.すでに自己ベストが出せないことが現実的には確定しつつあり,入賞もほど遠い状態での1500m.だれだって嫌でしょうし,逃げ出したい.でも,そこで踏ん張ってみる力って,十種競技を終えた後でも自分を支えてくれる力になるんじゃないか? 君を支えてくれた人達,応援してくれる人達に「結果がいまいちだから」なんて理由で,下を向いたまま1500mを走るのか? そんな状態の自分を応援してくれなんて言えるのか?



諦めない.これまでの自分よりちょっとだけ無理してみる.頑張ってみる.

十種競技ではそんな心の葛藤が生まれます.感情が大きく揺さぶられる種目です.言い換えれば,自身の感情をコントロールする機会が多々あるということであり,心を鍛えるチャンスが多い種目であるということ.


かつて教え子が2日目の途中で「これ以上やっても意味がないと思います.」と言ってきた.本人には「十種競技は最後までやらなければ解らないことがある」と伝え,棄権は許しませんでした.

試合を終了した本人からは「最後までやったけど,結局なにも解りません」という返事が来ましたが(笑


同じ悔しさでも,最後までやらずに逃げたときの悔しさには言い訳ができます.怪我だとか調子だとか.

でも,最後までやって負ければ言い訳はできない.やりきれる状況にあったのに負けた.その時の悔しさは,途中で競技を投げ出した時の何倍も大きなものでしょう.そいてその悔しさがバネとなり,次の自己ベストへ繋がる.

その試合にしか目がいっていない,森を見ずに木しか見ていない選手にありがちなこと.でも,十種競技者として広い視野で自分を見つめることができたとき,記憶から消したいと思う試合にもちゃんと意味があるんです.いや,意味を持たせることができるんです.

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ちなみに,七種競技はまたちょっと違う部分があるんですよね.種目数が少ない上,構成される種目の特性上,大きな失敗をしてしまうと十種競技以上に挽回するのが難しい.そんなヒリヒリ感を味わえるのが七種競技です.

初日最初の種目である100mH,2日目最初の種目である走幅跳七種競技のチャンピオンの多くは,この2種目で他を圧倒するほどの記録を出すことが少なくありません.上記の理由から考えれば納得いく結果です.
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ちょっと乱文気味になってしまいましたが「切り替える力」「諦めない力」.広く捉えて「森を見る力」を養うことができる.それが十種競技の魅力の一つでもあります.


4月から陸上競技に取り組もうとしている皆さん.十種競技七種競技を通して心身を磨いてみませんか?