ドーピング問題 スポーツ科学概論にて

世界陸上,なんか欠場者だらけですね.

ゲイ,パウエルのドーピング.まるで芋づるのように出てくる違反者.

これだけ多いと,いやでも勘ぐってしまうのが人間.

結果,クリーンなアスリートまで「どうせアイツもやってんじゃないの?」と.悲しいことです.



アスリートが賞賛されるのは,常識を越えたパフォーマンスを発揮するから.その裏にある努力が物語となるから.そして,その先に希望があるということを教えてくれるから.

ドーピングはこうしたスポーツにおける価値観そのものを変容させてしまうほど大きな問題.



ドーピングについて話をする時,まず最初に「安全かどうか」「フェアかどうか」の議論になる.そして次に問題となるのは「倫理的にどうか」であり,その奥には「禁止できるかどうか」,そしてそのスポーツを統括している国々の経済状況や政治まで影響してくる問題となる.

子供のように単純に「ずるい」だけでは済まされない非常に複雑な問題.



赤血球の産生を促進させるエリスロポエチンはNGで,同様の効果が期待される低酸素ハウスはOK.

レーザーレーサーはNGだけど,スラップスケートはOK.

では義足は? スポーツの世界からは離れるが,「スーパーモデルと12組の脚」エイミー・マリンズのような場合は? (動画はコチラ

同じチームのエースがドーピングをしていることを知ったら告発するのか?

倫理的には「当然だ」となるのだけど,告発した選手は大きな苦悩を抱えることになる.誰しもが「自分以外の誰かが指摘するだろう」と思うのではないか?





昨日のスポーツ科学概論.

土居学科長を筆頭に,プラス6名の教員による授業.

2週にわたってドーピングをテーマに授業が展開された.学生は大いに刺激を受けたことだろう.

多くの問題に対して唯一無二の答えは無いのかもしれない.

それでも,体育,スポーツ界に生きる我々は常に向かい合わなければならない.