マラソンではなく東京マラソン
800mを日本一速く走る人間となにげなくやりとりしていて感じたこと.
陸上競技を普及するためになにができるか.
例えば,MNBが関わっている東京マラソン.
これはもはやマラソン大会というよりは,東京を舞台とした巨大イベントである.
詳しくは陸上競技学会誌に寄稿した記事をみていただきたいが,本当の多くの人たちが関わっている.
彼らは,もちろん仕事として,プロフェッショナルとして関わっている人も少なくないが,ボランティアなどで関わってくれている多くの人たちは「俺たちで,私達で東京マラソンを成功させよう!」という気持ちが強いと感じている.
皆が東京マラソンのスタッフで,一員で,さらに言うなれば観客でさえ「東京マラソン」というイベントの中に組み込まれている.
マラソン大会に参加する,応援するというよりも,東京マラソンのなかに入るという気持ちも少なくないのではなかろうか.
かくいうMNBも,もちろん仕事として,プロフェッショナルとして手伝わせていただいているが,それでもあの巨大イベントの一員として成功させようという思いは強い.
つまり,42.195kmを走るマラソンに魅力を感じたり,興味があったりするのではなく,「東京マラソン」そのものに魅力を感じ,力を出し合うという感じだ.
もちろん,競技人生を懸けて走るランナーには感動を覚えるし,何かしらの強い思いをもって走る市民ランナーだって素晴らしい.
何も考えず,とりあえず当選したから走るランナーだっているけど,東京マラソンという舞台に上がる楽しさは味わっているはずだ.
競技そのものに魅力はもちろんあるだろうし,それを押し出すのも必要.
けれども,競技に付随した魅力を上手く伝えたり,表現することが,普及にとってはもっと必要なのではないか.
YKT氏が曰く,アメリカのロードレースなどはそうした趣がより強いとのこと.
これも普及の一端であろう.
かつてIWKB先代部長が「サマーキャンプ」と称して,武大で中高生を対象とした練習会を実施した.
陸上競技を楽しむのはもちろんだが,それに付随するものを「キャンプ」と称して伝える.
結果,「強くなる」「上手くなる」という目的に,「ワクワクする」という気持ちを上乗せすることができる.
黒潮祭(学園祭)の時に,現部長が「ワクワクランニング教室」を開催しているのも同じだ.
もちろん,現在の陸上競技連盟もキャラバンとしてたくさん実施しているし,効果を上げていると思う.
普及を行い,裾野を広げなければ効率の良い強化にも繋がらない.
もっともっと良い方法,効果の高いやり方も模索し続けなければならないだろうし,これはいつまでたっても終わることのない永遠のテーマだろう.
文句を言うのは簡単だ.
無責任に批判するのも誰だってできる.
みんなで,ほんの少しづつで良いから考えてみよう.