スポーツカーとは○○だ!

今日は監督からちょっと脱線させてもらって,車の話でもしようかと思う.

まあ,武大陸上部の監督は歴代「車が大好き」なのだ.

先代部長であったIWKB先生の社歴もすごい.かつてはGTOを乗り回し,大学を退官された現在もVOLOVO C30を颯爽と乗りこなす.ちなみにそのOKUSANはMR-Sという大変硬派な車にお乗りだ.
ちなみにIWKB先生は「俺は背の高い車は車として認めない.陸上競技者はスピード第一だ!」とおっしゃってました.やっぱり一流競技者は車も高性能なものを求める.

現部長だってドイツの「駆け抜ける喜び」をキャッチフレーズとした車に乗っている.

MNBは言わずと知れたインプレッサ.はっきりいって公道を走る車ではない.スポーツカーというより,コンペティション前提の競技ベース車だ.



さて,いま何気なくつかったスポーツカー.これって何を示すのだろう?

何をもってスポーツカーとするか.これはカーガイ(カーキチガイ,カーに乗るイカしたGuyともとれる.いやイカれたGuyか?)にとっては大変興味深い話題.



スポーツカーといえば,まず「速い」が思い浮かぶ.

つまり絶対的な性能値が高いということ.

昨今では,ドイツのニュルブルクリンク・ノルトシュライフェにおけるラップタイムがその性能の証となっている.

このコースは1周20.832km.高低差300mという森林地帯を172のコーナーで結んだ世界屈指の難コース.

かつては車の性能を示す基準として「ゼロヨン○○秒」とか「○○馬力」とか「パワーウェイトレシオ○○kg」とかいう言葉があったが,ニュルのラップタイムというのはそんなに単純なものではない.このコースは加速性能,コーナリング性能,ブレーキング性能はもちろん,ボディとシャーシの剛性,信頼性,耐久性,空力,果ては集中力を維持するためのフィーリング,操作性などの,走る車としての全ての性能を要求する.
・・・MNBもゲームでしか走ったことないけど.


そこでの仁義亡きバトル.ニュルでのトップランカーはまちがいなく「スポーツカー」だ(スーパーカーか?).


しかし記録はいつか破られるもの.

そしてF1のような公道で発揮できないような性能は,もはや必要とされない.

つまりスポーツカーにおける速さというのは,必要条件であるが,十分条件ではないということ.

ちなみに,ある自動車評論家は「時速100kmまでの到達時間が10秒を切ると一般的には速いと感じる」としている.




さて,速さ以外の概念は?



そう.格好よさだ.

いくら速くても,高性能でもボテーっとしたスタイルではスポーツカー? だ.

人間でも一緒.

ジャパンのジャージを着ているけど,誰がどうみてもスポーツをやっている人間ではない....そんな人をみたらなんかガッカリ.

でも,ここで難しいのは格好よさというのは相対的かつ個人的評価である点.

ある程度までの格好よさというのは線引きができるけど,究極の,100人に聞いたら100人が格好いいと答える車というのは存在しない.

これもやはり十分条件ではない.




最後に残るのは・・・・気持ち良さ.そう,ファントゥドライブだ.

BMWでいう「駆け抜ける喜び」

スポーツカーとしての販売台数ギネス記録(11年2月時点で生産累計90万台)を保有,更新しつづけているマツダ・ロードスターの代名詞「人馬一体」

スポーツカーを語る上で重要なファクターとなるのは,アクセルやステアリングによる車の反応が正確で,ダイレクトであること.

わずか1mmのアクセル操作にもエンジンは応える.

手首だけでのステアリング操作にも前輪は反応する.

親指だけに力を加えるブレーキ操作にも細かく制動する.



特にライトウェイトスポーツと呼ばれる車の生命線として評価されるのが,こうした運転する楽しさ,気持ち良さ,ファントゥドライブだろう.



しかも,これを現在の車に求めるのは大変難しい.

なぜなら,車作りの条件は年を重ねるごとに厳しくなっているからだ.

50年前とは比較にならないほど厳しくなっている衝突安全基準をクリアするためには衝撃を吸収する機能を車体に持たせなければならない.F1などのモータースポーツのように高価な素材をふんだんに使用すると,確かに高性能かつ軽量に作れるが,コストが猛烈に高くなる.

必然的にフロント部分を長くのばさざるを得ない.つまりボディの大型化である.大きくなったボディに剛性を持たせるためには,さらに補強しなければならない.結果,重くなる.

さらに現在の車に求められる機能も必要だ.パワステ、パワーウィンドウ,エアコン,ナビ...どんどん重くなる.

燃費を良くするためにはエンジンの負荷はなるべく減らしたい.

エンジンで駆動する補記類(ターボやスーパーチャージャー)があるとやっぱり重くなる.

なので出来るだけ電動化する.

電動化されたパワステはモーターでステアリングを駆動補佐するので,いまいちしっくりこない.モーターの感触が手に伝わってくる.立ち上がりのレスポンス遅れや慣性力による,なまぬるい操作感.

どんどん「気持ちよいフィーリング」から遠ざかってしまう.

このようにスポーツカーが減って来ているのは,若者の車離れだけが原因ではない.

色々なものを犠牲にしなければスポーツカーは作れない時代になってきているのだ.

2人乗りとして割り切るとボディデザインの自由度が増す.でも間違いなく売れない.

電子デバイスを多様した結果の超高性能.電子でバイスが介入しすぎて気持ちよくない.


案外,気持ちよい車づくりというのは難しいのだ.

乱暴にいってしまえば,高くて速い車は簡単に作れる.(メーカーのひとたちごめんなさい)

庶民の手にはいる金額で速いとなるとかなり難しい.

さらに気持ちよいとなると,,,格好よいとなると....なのだ.





さて,ここまで考えてみた結果,スポーツカーとは....

1.ある程度の速さ(性能)がある
2.あなたが格好よいと思える
3.ファントゥドライブがある

つまり自由だということだ(笑


軽トラにのってみてほしい.

遅いし,格好よくないかもしれない. でも極めてダイレクトなその反応は間違いなく「楽しい」

MNBの愛車であるインプレッサ
1.めちゃくちゃ速い
2.やる気がありすぎる格好で30歳を超えると恥ずかしい
3.ファントゥドライブを味わうのは公道では多大なリスクを伴う

個人的にインプレッサが満たしている条件は「1」だけのように感じる.でもスポーツカーとして差し支えないだろう.
ということは,3つある条件を全て備える必要はなく,何か1つだけ高い得点をとっていれば,十分スポーツカーと呼べるのではないか?



レーサーであり,ラリースストであり,自動車評論家である清水和夫氏は「タイヤが4本ついてさえいれば,自分にとっては全部スポーツカーだ」といっている.

清水氏にすれば,どんな車でもファントゥドライブできるからだろう.

「スポーツ」という言葉は奥が深い.



あなたの車は「スポーツ」ですか?