ビジュアリゼーションとイマジネーションというスキル

携帯電話 という言葉を聞けば,すぐに携帯電話の形を頭に描くことはできる.

しかし,それは曖昧でぼんやりしたものだ.

もし,詳しく携帯電話を説明してほしいと言われれば,再度,頭の中にある携帯電話をイメージし直す必要がある.

そして,その携帯電話を細かく説明できるほどハッキリと頭で描くことができたとき,それは多分あなたの持っているケータイだろう.

何かを問いかけられたら,大抵の場合はこのような過程を頭のなかでたどることになる.

ビジュアライズは既知の材料によって行われる.

しかし,「空を飛べる携帯電話をイメージして」となるとどうか?

すでにイメージできている具体的な携帯電話を利用して,さらに「空を飛ぶ機能」をつける必要がある.

この時に必要とされるのがイマジネーションだ.

普段からイマジネーションを働かせることができている人間は,ワクワク感と共に「空を飛ぶ携帯電話」を,再度ビジュアライズし始める.

しかしイマジネーションを働かせるスキルを持っていない人間は「携帯電話は空を飛ばないだろう」というネガティブイメージしかわかず,鮮明にビジュアライズできない.




レーニングも同様だ.

コーチの言葉で表現されたなにかは,あくまでビジュアライズするための材料であり,それを頼りに競技者は頭のなかでイメージを再構築する.

多くの場合は,そこでイメージを完成させ,実行・行動に移る.

しかし,イメージと何かが違う.

そこで必要となるのがイマジネーションだ.

イメージ通りに動かすためには,どうすればよいか.

何が必要で,何が不必要か.




こうした考えは,プレゼンテーションにおけるスライドにも大いに反映される.

一発でイメージを伝えるスライドで勝負する.

そしてその内容にはイマジネーションを刺激するものを含める.

「いったい何が言いたかったのだろう?」というのは,イマジネーションを刺激された結果ではない.

「では,こうすればどうなるのだろう?」という思考回路を開かせることが重要だ.



ビジュアリゼーションとイマジネーションは,人間がもつ最高のスキルのひとつだ.