自信を積み重ねよう

思いこみほど,自身の可能性を狭めてしまうものはない.



思いこみが作る「壁」について有名な話.

かつて陸上競技で1マイル走(1600m)が実施されていたころ.

人類は「1マイル4分の壁」にぶちあたっていた.

当時の専門家は,1マイル4分を切ることは人類には不可能だとし,世界中のエリートランナーも「エベレストを登頂するより困難だ」としていた.

しかし,1954年,イギリスのロジャー・バニスターが3分59秒4という記録をだし,ついに「1マイル4分の壁」を打ち破る.




不思議なのはその後だ.

バニスターが記録を更新した46日後,なんと今度はオーストラリアのジョン・ランディが3分58秒で走り,さらにその後,わずか1年間の間に23人もの選手が「1マイル4分の壁」を破ったのだ.



この事例はメンタルトレーニングの分野でよく取り上げられる.

実際にこうした自分自身が作り出した「壁」というのは数多く存在する.


100m 10秒台

110mH 13秒台

走幅跳び 7m

走高跳び 2m

棒高跳び 5m

円盤投げ 50m

ハンマー投げ 60m

やり投げ 70m

十種競技 7000点


各種目におけるレベルの差はさておき,これらの「キリが良い数字」はなぜか人の心に「壁」として立ちはだかる.

一度でも越えてしまえば,壁でもなんでもないただの「キリ番」に過ぎないのだが,,,,

不思議なものだ.




MNBが大学生のころもそうだった.

関東インカレでの110mH

当時13秒台を出せば学生超一流選手と呼ばれた.

先輩の富田さんが13秒台に突入し,学生記録を樹立.

大学生でも13秒台を出せる!

その後,急激に110mHのレベルは向上.

現在の学生記録はなんと13秒50だ.



十種競技でも同様.

当時の筑波は7000点を超える選手が5名以上おり,他大学からは「7000点ファクトリー」などと呼ばれていた.

逆を言えば「7000点」という壁を勝手に作り上げていたのだろう.




こうした「壁」を打ち破るために必要なのは何だろう.

歴史が示しているのは「自分と同じレベルにある誰かが壁を突破したことを知ること」だ.

しかし,それでは2番手という称号しか手に入らない.



自分が壁をやぶるためにはどうすればよいか.

それは「俺は出来る!」という自信を手にするしかない.



では,自信はどうやったら手にはいるか.

自信という言葉は「自分を信じる」であるため,自分を信じられるような経験を積み重ねるしかない.

つまり,自分で立てた目標をどれだけ達成できたかである.

自分自身で目標を立てることができなければ,自信を積み重ねることなどできはしないのだ.

いわゆる「自分ルール」のようなものでもかまわない.

自分が達成可能であろうルールや目標を設定し,着実にクリアしていく.

それこそが自信を積み上げる最初の方法だと思う.



そして積み上げられた自信は,その人間の思考を変え,行動を変える.

結果,他人からも高い評価を得る.

他者からの高い評価は「自己顕示欲」を満たしてくれるため,より大きな自信へと繋がる.

こうして「壁を破ることができる人間」に近づいていく.



誰もが経験したことがあるだろうし,誰にでも経験可能なことだ.




注意しなければならないのは,その目標とはあくまで「自分自身のため」の目標であるということ.

見栄を果って他人と比較してはいけない.

多くの人が,「自分は成功している」という自信をもてないのは,他の人との比較によって成功しているかどうかを判断するからだ.

他の人との比較によって成功を判断するならば,多くの人と出会い,世界を知るほど,自分は成功したとは思えなくなるだろう.



まずは自分だけの,自分にとって価値のある,十分に達成可能な目標を設定しよう.

最後まで練習に残る

火曜日だけ朝練をする

練習後には必ず400mを1本走る


どんなものでも良い.

大切なのは「自分で立てて,自分で達成すること」だ.



そして,それを継続しよう.

一歩一歩の積み重ねが,大いなる自信をもたらしてくれる.