酒井勇輝

祝日だが,MNBが非常勤講師を務める大学では授業があった.

休み時間,武大大学院生の久保から電話.


「陸上部を途中で退部した酒井さんのこと,ご存じですか?」

「うん,あんどんでバイトしてたよな」

「彼が,昨日朝,交通事故で亡くなったそうです」

「・・・」


詳細については分からないが,部活の指導へいく途中,電信柱にぶつかったとのこと.


すぐに名前と顔が思いだせた.

退部する際「陸上部の仲間は大好きです.けれども,家庭の事情などもあり,,,申し訳ありません」と言い,研究室を去っていった.

その後,あんどんという飲み屋でバイトをしている彼と会った.

笑顔で働いている彼をみて安心した.

「頑張れよな」と声をかけると,照れくさそうに「まだ仕事覚えている最中なんで,ミスばっかりです.でも,お客さんにごちそうさま,おいしかったよといわれるのが嬉しくて」とハニカミながら話してくれたのを覚えている.



短い期間とはいえ陸上部に所属していた仲間だ.

「陸上部の仲間は大好きです」という彼の言葉を汚さないよう,今日も頑張るしかない.

酒井よ.天国から後輩を見守ってくれ.

謹んで冥福を祈りたいと思う.