ドーピング

男子ハンマー投げで,二大会連続ドーピングによるメダル剥奪の可能性が高くなってきた模様です.

連載中の陸上競技マガジンにも書きましたが,ドーピングで一番怖いのが「スポーツの文化がぶっ壊されてしまう」ということ.

健康を害する,副作用がある,命の危険性がある.でも,競技力は飛躍的に向上し,絶対にばれない.

などという薬があったら,一体何人の選手が使用してしまうのだろう.


スポーツ界におけるドーピングで一番恐ろしいのは,こうした思想である.

勝つためには何でもやって良い.それが,たとえ相手を陥れ,不正に薬物を使用したとしても,金メダルが取れれば良い.



どうですか? 考えてみてください.

もし,次のロンドンオリンピックにおけるハンマー投げでも,同様にドーピングによるメダル剥奪が生じたとしたら...

もはや,「ハンマー投げ」という競技は薬物を使用して行うものだという認識が,ステレオタイプの固定概念として広まることでしょう.

そして,最悪のパターン.

「室伏選手だって,実はドーピングをしているけど,たまたまばれなかったんじゃないか?」

室伏選手の経歴,その練習のすさまじさ,思想について触れる機会がある私たちだからこそ,彼がドーピングなんか絶対にしていないと信じることができます.

しかし,何も知らない外国のメディアや観客は・・・?

じゃあ,大阪世界陸上でメダルを獲得した選手達は?


それこそ,スポーツをすること自体が,卑劣かつ野蛮な行為と捉えられてしまう時がくるかもしれません.


報道が間違いであることを祈りたいのですが,そうもいかないようです.


一番かわいそうなのは,二大会連続でメダルを獲得しながらも,輝く表彰台に一度も上がれていない室伏選手でしょう.