2013年度卒業生に贈る言葉

卒業生へ送る言葉

私は2005年に武大に赴任し,2007年に監督になりました.その4年後の世代が君たちの世代です.つまり私が中心的に指導する学生達が1年生として入学し,卒業したのが2010年.良くも悪くも新しい体制に移り変わった時に君たちが入学してきました.

そして,君たちと過ごしたこの4年間は監督として喜怒哀楽の歴史でもあります.君たちが高校生だったときの勧誘データをみると,今とのあまりの違いに愕然とします.とにかく人数が少ない.途中で去った仲間達もいますが,いまここにいるのは42名です.
それに比べ,今年入部してきたここにいる1年生は70名.来年入学予定の学生も60名をゆうに超える予定です.いかに君たちの世代が少ない人数だったかわかると思います.
そして競技実績もない.今だから言えますが,お世辞にも高い実績を背負って入学してきた選手はいませんでした.
岩壁・前河体制から前河・眞鍋体制へ移行して4年.新たな強さを目指していたのに,このままでは武大陸上部は弱くなる一方だと暗い気持ちで過ごしていたのを覚えています.監督としての力量を反省することすら無く,入学してくる学生をみてガッカリしているのですから,指導者としても最低ですね.

そうした状況に対する苛立ちから君たちが一年生のころは,本当に多くの叱責を与えたと思います.いまこうしてここにいるメンバーをみると,私の説教を受けていない人間はいないんじゃぁないかと思います.

入学早々,佃のバカに始まり,卒業間際になってもまだ心配をかける板倉.いつまでたっても問題児がたくさん.君たちの顔をみていると,またイライラしてきました(笑.



と,まあ冗談はさておき,あれから4年経ちました.君たちの世代は本当に成長しました.胸を張っていい.

一般入試で入学し,サッカーか陸上かまよっているところを,私にそそのかされて入部してきた伊郷.1年生のころは家でずっとリフティングをしながら「なんで俺,サッカーしなかったんだろう」と後悔してましたね.主将挨拶はちょっとカタイけど,それも伊郷らしさ.文武ともに素晴らしい主将でした.


その存在すら覚えてもらえていなかった長雄.「監督に名前を覚えてもらおう.声をかけてもらおうと努力してきた」ときいたときは,私は見る目がなかったのだなぁと反省しきりでした.関東インカレで後輩に負け,その借りを全カレで返した.なんというか,その男気あふれる姿は,まさにアニキだったな.いい男になったもんだ.


体が小さく混成競技に向かないと言われてきた実希子.君が日本選手権で入賞し,私の恩師であり,陸連専務理事である尾縣先生から賞状をうけとっている姿は,私の数ある夢の一つでした.一生忘れません.


そして先輩の背中を追いかけることしか出来なかった大ちゃん.マネージャースタッフとして本当にいろいろな雑務をこなしてくれて,我々コーチングスタッフからの無理難題も引き受けてくれて,本当に感謝しています.写真判定室で過ごした時間は武大記録でしょう.これからも更新してくれることを願っています.


こうして,主将・副主将クラスの全員が入学当初からは想像もできないほど成長し,全員が全国レベルでの戦いで入賞するという快挙を成し遂げました.もちろん,他のメンバーも同様です.


泰輔は...まあ,馬鹿な後輩のおかげで色々あったし(笑 
青木は伊郷にまけず頑張り,後輩達の手本とあるべく努力しました.
光輝は本当に先輩らしく,そして勝負強くなった.
石川は関カレ2部での圧倒的勝利に表彰台で貢献.感動したよ.
勇太は叱られ続けたけど,今の強いポールブロックを作ってくれた.
綾は女性ながらに武大の伝統であるデータバンクをまとめてくれて,ひとみは叱られ続けながらも,トレーナーをまとめてくれた.
駅伝主務の佐藤は苦しいなか立候補して後輩に駅伝を走ることの難しさを教えてくれて,慶也は...ユニフォーム委員の仕事と共に,短距離ブロックの精神的支柱として頑張ってくれた.
ブロック長だけ挙げてもたくさんの思い出があって,君たち42人を顔をみると,本当に語り尽くせないな.
そして,ここにいる全員が4年間のなかで輝く時期があり,それを人生の宝としてもってくれていると思います.




こうして4年間を思い出していると,時間なんか過ぎんかったらいいのに.と本当に思うよ.それでも,いつまでも大学生でいることはできません.

教え子の役割は恩師を越えること.君たちが超えるべき次なる壁は国際武道大学のトラックには,フィールドにはもうありません.これからはそれぞれの夢,目標,高みへ向けて,また私の想像を超えていってください.君たちならできるはずです.
君たちと過ごせた四年間は私達の宝であり,武大陸上部の伝説となるでしょう.四年間,どうもありがとう.




国際武道大学陸上競技部監督
眞鍋芳明