キシリトールガムのマーケティング 新しい歯科経営感覚

どこかでキシリトールガムが普及するまでのストーリーを読んだ.

ウロ覚えで恐縮だが,歯医者がキシリトールガムを推薦し始めたのは,以下の経緯があった...らしい.(ソースがハッキリしていません.すいません)


1.キシリトールガムのマーケティング担当者が「虫歯を予防するガム」として日本に広めようとした.

2.歯科学会などで歯医者さんが猛反発.だって虫歯が無くなると儲からなくなるから.根拠などがハッキリしていないとか,なんたらかんたら.

3.キシリトールガムのマーケティング担当者が気づいた.日本人で虫歯なのはおよそ1割.残りの9割は虫歯じゃないから,歯医者に行かない.これが現実.なぜなら,当時の歯科は虫歯を治すための「事後治療」がメインだったから.

4.虫歯が無くなって歯医者に行かなくなる1割をターゲットにするよりも,虫歯になりたくない9割の人間達を取り込むために「予防治療」を展開してはどうか? もちろん美容やオーラルケアなども含まれる. この場合,単価は安いかもしれないが,市場としては莫大な売り上げが見込める.なにより虫歯が減って健康な歯になるから国民は嬉しい.そして健康を維持するために歯医者を利用してくれれば,お互いがハッピーだ.


ということで,現在では歯医者のレジにキシリトールガムが置いてあるようだ.

まあ「視点の変更」という意味でよく使われるエピソード.

さらに突っ込んでいくと気づくのが,それでも虫歯は減らないという事実と,スポーツや事故などで歯を破損した場合におけるインプラントや,子供のころから歯並びを良くするための矯正といった「高度な技術」が求められる,いわゆる「腕の良い歯医者さん」の存在も光り始めるのではないかということ.

つまり,新しい評価基準が現れることで,従来の評価基準もかえって際立つようになり,予防させるのが上手い歯医者と,治療が上手い歯医者のダブルスタンダードが成立するのではないかと感じた次第.



なんでこんなこと書いたのかというと,正月に従兄弟が継いだ歯医者をみてきたときに感じたことがあったから.

その歯医者はパッとみると,まるでオシャレなカフェ? レストラン? 飲み屋? みたいな雰囲気で,外観からすると誰がどうみても歯医者には見えない.

さらに中に入ると,待合室の斜め下にオープンオフィスが広がり,治療スペースは穴蔵のような別棟に並ぶ.

少なくとも,MNBの発想にはない歯医者がそこにあったわけだ.



歯科医として優れた腕と高い評価,地域住民の信頼を得てきた叔父の後を継ぐのは大きなプレッシャーになるだろうが,こうした形で殻を破ってきたかと妙に関心してしまった.

おそらく,あの歯科に患者で行くときには優越感を感じるだろう.

そんな新しい経営感覚を感じた.


実は,似たようなことを昨年の新入生向けの授業「キャリアデザイン」で講義した(正確には講義資料を作成した).

大西君のカレー屋物語というテーマ.

カレー屋として起業する際,大切なものはなにか?

それは決しておいしいカレーを作る能力だけではなく,「あること」に気づかなければ10年続く企業にはなり得ないという話.

ここで書くと長くなるので,反響があれば今度紹介しよう.



従兄弟も頑張っている.

俺も頑張らねば.