リクマガ 「書きたい」と書ける」と「評価が高い」は一致しない.

自分にしかできないことをやりたい.

自分ならではのことをやりたい.



就職希望時点で,そういった夢を持つ学生は少なくない.

さらに仕事についてからも,こうした思いで悩み,「今の仕事は自分にあっていないのでは?」と考え始める者は,むしろ多いだろう.



それはそれで結構.悩んでいるのは自分と向き合っていることだから.


でも,一つ言いたい.

「自分ができることをやりたい」というのは,あくまで自分のなかにいる職人的な考えであり,それが他人を満足させる・納得させるものでなければ仕事としては認められないということを理解していなければならない.



以前にも話したが,物理的に仕事というものは,物体に加えた力と、それによる物体 の位置の変位の内積によって決まる.

もっとぶっちゃけて言ってしまうと,いくら自分が満足しても,何かが動かなければ仕事ではないということだ.



MNBは陸上競技マガジンという雑誌に,2005年から連載を続けている.

あしかけ9年目だ.

こうした記事を書く際に気をつけているのが「自己満足になっていないかどうか」である.

書きたい記事と,書ける記事と,期待されている記事と,評価の高い記事というものは,必ずしも一致はしない.



相手のニーズを探りすぎて,自分らしさが消えると,かえって良いものはできない.

けれども,自分勝手に自分がやりたいものだけを提供しても,その多くは評価されることがなく消えていく.



これはアーティストでも,芸人でも,タレントでも,エンジニアでも,指導者でも,その割合は異なるのだろうけど,だいたい同じだと思う.

こうしたせめぎ合い,妥協点をうまく探ることで,良い仕事はできていく.

仕事とはそういうものではないか.