自己ベスト
MNBが見ていて,もっと速く走れるはずの選手はたくさんいる.
今日の練習.加速走を終えてこちらに来る選手に技術的アドバイスをする.
「先生,でも今のベストですよ.自分としてもバッチリとまとまった気持ちがするんですけど」
違う.確かにこれまでの君よりは良かったのかもしれない.速かったのかもしれない.
けれども,君が目指すべき走りはもっともっと先にあるはず.
自分の中だけで完結しないでくれ.
君はもっともっと速く走れるのだから.
MNBが現役の頃.春の緒戦で大幅な自己ベストを記録した.
多くの人は,「この試合はバッチリはまったね」と評価してくれた.
その一方で「さすがにこれ以上は記録でないだろ」「満足しただろう」とコーチは考えていたようだ.
とんでもない.MNBは「やろうとしたことができただけ.次にやるべきことは決まっている.それができれば,さらに伸びる」という確信があった.
春シーズンの二試合目.MNBはさらに記録を伸ばした.
1シーズンで500点近く記録を伸ばすことができた.
もちろん,怪我で現役を引退するまで記録は更新し続けた.
自己ベストというものをどう捉えるかだ.
「これまでのなかで最高の自分」
「より先に進むための過程」
現役選手ならば,常に後者であってほしい.