「えせ」さえ作れていないMNB
日本が激闘している時は必死になって日本を応援する.
日本が負けたら,あとはドコが優勝するかしか興味がない.
そういう人間をえせサッカーファンと呼ぶようだ.
「えせ」とは似て非なるものという意味のようだ.
なるほど,サッカーファンのようではあるが,その実,それほどサッカーが好きというわけではないということか.
良いではないか.えせサッカーファン.
彼らはサッカーのファンではないかもしれないが,日本代表のファンなのだ.普段は低迷するJリーグの視聴率も,ワールドカップになれば爆発的に上昇する.
体育系大学に所属している学生達の間では,ワールドカップ日本代表の話題でもちきりだ.
確かに,サッカー関係者からすると物足りないのかもしれないが,それでも,普段はサッカーに見向きもしない人たちが,ここぞとばかりに日本を応援し,感動し,俺も頑張ろうと思ってくれる.
かくいうMNBも「えせ」かもしれない.
けれども,同じスポーツ界に関わる人間として,JOCの強化スタッフに所属する人間として,そしてサッカー界の中枢にいる人たちの苦労を直接肌で感じたことのある人間として,日本代表には本当に頑張って欲しいし,だからこそ「勝たねばならない」「勝つべきだ」と思う.
その件については,反論があるかもしれないが,以前の日記にも書いた.
「勝つまでの過程が大事」なのは当然だが,1試合勝つだけで,日本国民を数日は「熱狂」させることができる.
もし,日本代表がカメルーン戦で負けていたら,えせサッカーファンはサッカーに牙をむき,スポーツ界は大きな痛手を負う可能性があった.
やっぱりね.
と,卑下したかもしれない.
負けて得るものも大きく,勝利して得るものも大きい.
体育・スポーツのなんと素晴らしいことか.
そして,ワールドカップ後におけるサッカー界の重要な役割は,「えせ」の扱い方だ.
なぜなら,数ある種目が同時に開催されるオリンピックと並んで,ワールドカップは4年に1度,サッカーのみで開催されるビッグチャンスなのだから.
「えせ」を「日本代表フリーク」へ昇華させることができるかどうかだ.
サッカーも野球も陸上競技も同じスポーツ.
スポーツ界が盛り上がれば,日本は活気がでる.
ふと,日本を武大に置き換えてみた.
まだまだ「えせ」すら誕生していないことに気づいた.
バレーボール部が東日本インカレ3位に入賞したことに気づいている学生は何人いるのか.
モーゼス夢の後継者,川内裕太が明日からヨーロッパを転戦することを知っている学生が何人いるのか.
各部活動の指導者であるとともに,国際武道大学という「国」の活気を支えている我々は「えせ」さえ作ることができていないことを,もっと恥じるべきかもしれない.